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生きるという事は死ぬまでにこの世に生を受けた事の意味を探す旅

ホール管理 の 音響 さん

   

最近衝撃的なことを耳にした。ホール管理志望で音響会社に応募してくる若者が増えてきたという。なぜだ。20年くらい前からは想像できない。と、同時に今の時代の流れからするとそういう方向性もあるのかもなぁとも思った。

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音響さん

自分が音響をやりたいと思ったのもそれはバンドブームという時代背景があったとも思うのだけど、サラリーマンになりたかねぇから音楽に関わった仕事がしたいって思ってたからだった。結果的に謝りたくもねぇことに頭を下げて、デスク作業をがんがんやりまくり、理不尽なことを飲み込んで我慢するサラリーマンになってるのはなんなんだろうなとも思うのですがね。

専門学校の時にホール管理という仕事には全く興味がなかった。というよりもホール管理はある程度現場の第一線から退いたおじさんたちがやるもんだと思ってた。そう、ちょっとバカにしてたようなところがあったかもしれない。何も出来ないくせに見下しているかのような考え方じゃないか。しかし今現在、ホール管理という人々を見るとおじさんだらけではない。意外と中堅どころのまだまだ現役バリバリの人をよく見かける。ちなみに余談だがホール管理の人を「小屋付き」と呼ぶことは失礼になるので若者にはそうさせないようにしている。見世物小屋というところから来ている隠語のようなものらしい。正確には「ホールさん」とか「劇場さん」とか「会館さん」とか呼ぶのが正しい。「小屋付きさん」と呼んでも小屋の人は怒らないけど、「コイツ物を知らねぇな」と思われている。事実、専門学校で某大手音響会社の方は授業で小屋付きのことをクズ呼ばわりしているらしい。

ホール管理 の 仕事

実際にホール管理はどうなのか。確かにリハーサルや本番において音響のオペレートをしているわけではなく、雑用に近いことをしている事もある。本番中のモニタリングとか。終演後の掃除とかもそう。いや、掃除は借りた側がやるべきで、舞台を掃除して帰らないイベント進行なんかは影で相当言われている。で、本番までの仕込みやリハーサルにおいて乗り込み音響のサポートをものすごくやっているホール管理さんも世の中にはたくさんいる。その劇場を誰よりも熟知していて、音響特性を聴くだけでなく、モニターの配置など、そのホールで今まで行われた催事を参考にアドバイスをもらうとものすごく的確だったりする。悩んだときはホールさんに相談するのがすごくいい。

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勤務形態

実際若者がホール管理の音響をやりたいと望むのには理由があって

  • 休みが確保されていそう
  • 時間がしっかりしていそう
  • いろんな催事を見れて楽しそう
  • 安定してそう

ってことらしい。

いや、安定を求めて公務員である都立や国立の劇場の管理に行くのもいいんだけど、安定望むなら音響の仕事なんてしないほうがいいんじゃないだろうかと思ってしまう。

実際のところ、安定しているのかといえば安定しているようにも思えるのだけど、給料は低く安定していると思う。国立劇場で公務員だと違うのかもしれないけど。劇場によっては前半後半の交代勤務制で、朝の仕込みでお会いしたホールさんは夜には帰っていて、遅番の方にバトンタッチしているホールも多いのだけど、朝から晩までずっとお付き合いしているホールさんもいる。始発から終電までとか、下手すゃ0時から仕込みのところもある。貸し出し時間も劇場により様々。深夜も貸すところもあれば、8時から22時までで絶対というところもある。

音響としては

はっきり言って最初からホール管理業務をやってたって何もいいことはない。最初に社会勉強レベルでいろんな催事やいろんなやり方をみるという麺ではいいかもしれない。しかし自分が仕込むわけでもリハーサルに参加するわけでもない。オペレートするわけでも、マイクケアするわけでもない。他人の仕事を眺めて見て覚えているつもりになっているだけ。そして他人の仕事を比較しながら批判してるだけになる。ホール管理といえど、実はオペを受注することもあるので、あまり本番オペレートの経験が無いとそもそも出来るわけがない。経験者ですら長いこと現場オペレートをやらずに管理ばっかりやっていると、様々な感覚が抜け落ちてしまうというのに。

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これも時代の流れなのかもしれない。若者はリスクを避けて生きる。もし仮に、最初からホール管理を望むのだとしたら音響の仕事なんかしないほうがいい。単なる音楽愛好家であるべきだと思う。音響の仕事がしたいのならば、最初はものすごく苦しいだろう。しかも人間関係で悩むことが多いかもしれない。嫌いな先輩のもとで修行しなければならないことがたくさんあると思う。イライラもするだろうし、怒鳴られるだろうし。

また大手音響会社である程度のところまでいっても、ある程度の事ができるようになっても。知識が乏しい人というのは意外といるもので。中小企業的小さい音響会社のほうが機材に関する勉強はものすごい。デカい現場は出来なくても、様々な機材を駆使して乗り越えようとするのだ。大変だし辞めたくなることも多いだろうが、踏ん張って欲しい。踏ん張った先に本当の楽しさが見えてくる。そんな仕事だ。だれでも簡単に研修すれば出来る仕事じゃない。職人だから修行が必要。練習が必要。フェーダー素振りとか意外とマジでやってましたよ。耳を鍛えることだって忘れちゃいけない。そういう仕事なのです。

オススメのリファレンスCDを何回も聴くくらいしような。mp3じゃなくてな。

 

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