ueck-log

生きるという事は死ぬまでにこの世に生を受けた事の意味を探す旅

u_zhaanさんの話を考察してみる

   

ちょっと気になる話を見かけたので自分なりに考察してみたいと思いました。別に批判する訳でもないのですが、やはりPAの同業者目線からこれがいったいどういうことなのか、という単純な興味から考察してみたいと思います。考察と言っても単なる話から状況を想像したりというか、自分が同じような状況かにあった場合、どうなるのかなぁという私的な話ですので、書きながら色々考えてみたいと思った次第です。なんでこんな事考えるのかって最近いろんな同業者さんと顔を合わせる機会が増えまして、いろんな同業者さんのお仕事を拝見させて頂くにあたり、毎回勉強になる事だらけでして、ただただ自分の勉強不足を恥じる機会が多いからです。

どんな話なのかというと

;

とりあえず一つだけ指摘しておきたいのは、当事者であるその「和歌山のPAさん」はひどくショックを受けるのではなかろうかという事です。こういう形で批判や文句を言われ世界に発信されるのは、もしかしたら何かしらあったのかもしれませんが、しかしながら悪口を言っているようなものなので気持ちのいいものではないなぁと感じました。有名人からの発信だからなおさらです。すでに多数の方が見たようなので手遅れではありますが。

さて、この話を聞いた第一印象は誰もが同じ感じになります。ひどい、いいわけないだろう、そんな類です。少しバンド経験があったり音響の事を知っているような人だと、メインの音とモニターの音が同じだなんておかしい、ありえないだろという感じです。 で、自分もありえんと思いました。それは今時どんな音響卓でもメインとモニターの音は別系統で送れるもんです。一万円もしない音響卓を使ったとしてもです。ところがシステムがかなり小さい、機材や機能が不足した場合、モニターとメインを同じ系統にせざるを得ない事があります。それはアンプが無い場合だと思われます。

 

大雑把に今回のシステムを想像するにこういう事だと 思います。もしかしたら音響卓の後にEQが接続されているかもしれませんし、アナログ卓ではなく、デジタル卓かもしれません。そもそもYAMAHAのMGでは無いかもしれませんが、かなり簡易的な、ステレオ音声を出すようなシステムのうちの内側をアーティスト側に向けてサイドモニターとしたか、もしくはケーブルを延長して足下に転がしたか、そういった対応がされたのだと思います。これにアンプがもう一台あれば、自由に調整が出来たのに。

 

 

アンプがもう一台あるだけでだいぶ変わります。もしくは4chのアンプでもいいので、とにかくモニター回線を出力する為のアンプのチャンネルが1chでもあればなんとかなったのに。。。。ということです。大抵の今の卓はメインへの出力だけでなく、AUX OUTなりEFFECT OUTなり、何らかの形で送出できるようになってるのにと。まぁ音響さんならそんな事解ってるのです。アンプさえあれば。ということを前提にすると「メインの音量も下がっちゃいますけどいいですか?」という聞き方から裏の意味を読み取ってみると「機材費を削減されたから現状はこのシステムしかないので」もしくは「モニターを出す話なんて聴いてなかったよ」という気持ちが見え隠れしてしまうのです。 何もわかっていない、無知な音響さんだったら、「モニターの音量をガッツリ下げてくれ」と言われた際に即座に下げてしまい、あーあメインも下がっちゃったよという結果になるでしょう。事前に確認したという事はおそらくこのシステムに対して何かしら残念に思っているところがあり、理解しているはずです。

 

 

それでは本来ならどの程度のシステムが必要なのでしょうか

 

まぁ最低限メインで2発ずつだろうなぁと。別でモニターも用意するだろうと。転がして。マイクは実際どうだったのか知りませんけど、まぁアタック音がとれるマイクと低域成分もとれるようなマイクを用意したいかなぁと。スピーカーシステムにウーハーがあればなおよし、でしょうね。

もしちゃんとした音響さんなら誰でもこのくらいのシステムは用意すると思うんですよ。モニターを欲しがるような環境や規模のライブをする訳ですから。そうなった場合にスピーカーや機材を用意できないという状況は、製作サイドから予算が無いから機材費出せません。ありものでやって下さいとか、最低限でいいです。とか言われてしまうパターンじゃないかと思います。もしくは保有している機材がすべて別の現場に出払ってしまっている、なおかつレンタルでもなんでもしようとしたが各社同じように機材が出てて借りる事が出来なかった。

あとは音響さんがよっぽどひどい人だった、というパターンというか、批判されるべき音響さんだったんだろうかという事を考えた場合即座に「メインスピーカーも音量が下がりますけどいいですか?」という返事はやはり出ないと思うのです。

 

 

ここのところいろんな音響会社さんのお仕事を拝見するにあたり、各社によって様々な仕事人っぷりを見る訳でして。確かに不安になるような音響さんも世の中にはいなくはないですけど、皆さん口々に言うのは「予算がないと言われてしまいまして」という現実です。音響さんだけでなくおそらくは照明さんや道具さん、映像さんなど、スタッフに払うお金は無いという事でしょう。機材費や材料費を出来るだけ抑えてくれ、場合に寄っちゃ人件費も下げてくれ等。。。。

値引き交渉するのはまぁよくある事ですが、しかるべき仕事を遂行する職人に対して、それだけの対価を支払うのは当たり前の事ですし、この流れを断つ事がエンターテイメントの衰退を招くと思うのです。よくアーティストに対してしかるべき金額を支払うべきだという話があがりますが、スタッフへもしかるべき対価(とお弁当)を払うべきだと言う事をどうか忘れないで頂きたいと思いました。

 

 - a day, twitter , ,