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生きるという事は死ぬまでにこの世に生を受けた事の意味を探す旅

ライブでいないはずの音が聞こえるとかクチパク?に見える時の仕組み

   

たまにはこんな事も書いてみようかと思いまして。ネタバレ?というわけでもないんですけど、どうなってるの?と思ってる人もいるようなので、マニピュレーターさんの存在を出してみようかと。意外と知らない人も多いというか、いやそりゃ知らないよねと。んで知らないが故になんだか変な風に疑ってしまってもそれはそれで損だなぁと思いまして。

例えば、ソロアーティストのライブで本人が歌っている声以外にコーラスパートの声が聞こえたりするときってありません?バンドメンバーはみんな男性なのに女性コーラスの声が聞こえたり、本人の声でコーラスパートが聞こえたり。他にはステージ上に居ない楽器の音が聞こえてきたりとか。ライブのジャンルにもよると思うのですが、IEM(In Ear Monitor=イヤモニ)が当たり前になって、その存在も当たり前になっています。

その場に居るはずの無い音や声が聞こえるってことは、当然の事ながら録音された音源です。いや、実は見えない所で演奏しているなんて事もごくまれにあったりもしますけども。ほとんどないけど。で、それをみてクチパクなの?とか疑っちゃうとライブが楽しめないと思うので、これもまたライブでの技術というか、手法なんですね。

マニピュレーターさんといっても実際にステージ上でシンセなどの鍵盤を担当しつつ、という方も沢山いらっしゃいます。ステージ上にMacが見えたらマニピュレーターさんだなぁと思ってよいと言えるでしょう。ProTools等に代表されるDAWソフトウェアをコントロールしている訳ですが、その使い方や機材セッティングは様々です。おおざっぱな説明をすれば、DAWなどのステレオ2mix LRだけでなく、いろんな音源や楽器をバラバラに録音してある状態を再生し、それを音響卓に送っている訳ですが、音源だけでなくクリック音(ドンカマって言うと懐かしいよね)も出力しています。このクリックは当たり前の事ながらメインスピーカーやモニタースピーカーを通してお客さんには聞こえないようにしており、IEMだけに返したりアーティストのそばにヘッドホンモニターを置いて返しています。そのクリック音を聞きながらプレイヤーは演奏している訳です。

クリックだけを返すパターンもあればAVIOMなどの機材を利用して、プレイヤーが好きなようにヘッドホンモニターのバランスを組む等のプランもあります。このクリック音があればドラムのカウントが無くてもいきなり歌とピアノが始まる曲をライブで再現するという事が可能になるわけです。つまり考え方によってはDAWというソフトウェアを楽器として扱っているとも言えます。PLAYボタンを押すタイミング次第で聞こえ方や見え方は大きく変わってきます。一瞬のタイミング、心地よいタイミングでいかに音が出るようにするか。これはかなり難しい事です。舞台では「間(ま)」と言いますが、個人的には間がすべてだと言えるとも思っています。こればかりは舞台を経験していないと解らない空気やその舞台のサイズ等がありますので、経験による積み重ねでしか身につける事が出来ません。その日その時によってその間がコンマ何秒なのかは違うのです。

という事でやはり実際にライブで感じられる体験というものは非常に大きいです。ヘッドホンから聞こえてくる音楽はライブ会場では耳だけでなく全身で感じる事ができます。チケット取りにくいかもしれないですけど、是非とも足を運んで頂きたいですね。

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